9 / 19
3-6*温泉編
「ん"ー…!」
をいをいをーい。ちょっとまてネ
むとうあずさクンよく冷静に考えてみて
こりゃいかん。舌はだめよ
なんてったって男同士
キャー!!禁断?禁断?…じゃねぇから
渾身の力を振り絞り、りゅーくんに抵抗シマシタ
ちょーっと、いや結構不機嫌そうな顔をされた
もういいって。ちょっとぬるい水はもういいって
「…ハァ んだよ」
「んだよ じゃないわ」
「はぁ?おまえファーストじゃあるまいし、そんなむきになるなよ」
「……………」
「童貞なのは知ってるけどキスは流石に経験、」
「……俺ファーストだった」
遮るように小声で言ったけど、悲しすぎかよ。
社会人になって同僚と居酒屋に行ってファーストキスねたが出た瞬間泣くわ俺。
男ですって素直に言ってみろ。「え?」って言われて距離置かれるわまじ。…しかもデープキフ
さっきまでの俺、もうちっと適切な判断を取るべきだったな。
覆水盆にかえらず感が俺を襲ふ
いや、ちょっとまて。りゅーくんとのキスが嫌じゃなかったことも事実………アレ俺ついに中西くんの言う未知の領域の扉開けちゃった感じ?いやいやまだノックしてる感じでとどめておきたい。もうやーね、叫びたい
いと悲しきことですのう
抱きしめられてる(と言うよりは介抱)俺からはりゅーくんの顔がバッチリみえるんだけどさ、なにこれ?
なんか不思議な光景がみえるのだよ。
「……ってなんでりゅーくん」
「うるせえ」
ちょ、ちょ、ちょ、レアだ
顔が赤いぞ、なにゆえ
…なんだい彼。そういった魔法にかかったの?
どういった魔法だよ!っていう自問をしていて…じゃなくて真面目に。
「なんで顔が赤いの」
「…お前まじ黙れ」
「う、ひど」
「じゃあ梓のファースト… 俺じゃん」
「…そんな当たり前なこと言わないでヨ。今さっきしたでしょ!?」
「…………あーはいはい、ワカリマシタ」
「なんかうざいぞりゅーくん」
「…もう大丈夫だろ。早く寝ろ」
***
「あー萌える萌える萌える。お前ら可愛すぎかよ。マジくっつけよ。なんだ梓、氷室が赤面してる理由もわからないのか…?まじ狙ってんのかよ、てか可愛い、もう拍手なんだけど。ホモゲーよりも萌えるわ、あああ有難う神様リアルBLを俺のもとに届けてくれて………ハァ幸せ。死んでもいい、写メらせて。…とりあえず早くくっつけ」
同室の腐男子
中西くんが復活して
襖 越しに俺達を見てハァハァしてることは
誰も知らない。
なんて波瀾万丈な1日だったのだろうか。
そんな記憶が一番強い高校2年生秋の出来事であった。
ともだちにシェアしよう!