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ラブ・アット・ファースト・サイト ――貴方に一目惚れ 11

 鷲津社長はここの常連で、そのつてで鵜川も出入りしていたために建樹も連れて来られたのだが、こういうきらびやかな店の雰囲気には何度来ても馴染めない。  華やかに着飾った美しい女たちの歓迎を受けたあと、クッションが良すぎて、却って座りづらい革のソファに腰掛ける。  何も言わなくてもテーブルの上にボトルが用意されているあたり、鷲津たちが来ると承知していたようで、さっきの女たちのうち、緑と赤のドレスをそれぞれにまとった二人が席に着き、その片方がさっそく人数分の水割りを作り始めた。  一行員の給料では到底買えそうもないウィスキーの銘柄を揃え、グラスからファニチャーまで超一流品で固めたこの店で、金に糸目をつけずにボトルをキープし、女たちにチップをはずむ会社社長……  異世界に紛れ込んだようで居心地が悪く、落ち着かない素振りの建樹を見た鷲津は「まあ、一杯やりたまえ。遠慮しなくていいから」と、水割りを勧めた。 「ありがとうございます、それではいただきます」  左右に美女をはべらせた鷲津は上機嫌で、タバコをくゆらせながら「いやいや、君のような色男を連れて来ると彼女たちが喜ぶんでね。ここまでつき合ってもらったのもそいつが目的さ」と言い、右側の赤いドレスの女が建樹にウィンクしてきたが、喜んで受け取る気にはなれなかった。

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