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スコーピオン ――瞳で酔わせて 13
ようやく気分が落ち着いたのは明け方近く。ベッドの中で建樹の肩を抱き寄せた恒星は「どうだい、満足したか? 俺のお手並みはなかなかだろ」と訊いた。
なかなか、どころではない。ここまで精力絶倫な男に出会った試しはなかったが、建樹はあやふやにうなずいただけで、何も答えずにいた。
「なんだなんだ、また元のお澄まし姫に戻っちまったのか。コトの最中は別人だったのにな」
いくらか厭味を込めて言った恒星はつと、立ち上がるとバスローブを引っ掛けて部屋の隅に置かれた冷蔵庫の前まで進むと、ウィスキーの小瓶を取り出し、備え付けのグラスに注いだ。始終酒を飲みっぱなしの、この男の肝臓はどうなっているのだろう。
建樹が呆れ顔で見守る中、タバコに火をつけた恒星はふいに「俺の名前さ、コウセイってどういう漢字を書くと思う?」と訊いた。
「さあ……わかりません」
「惑星に対する恒星、太陽みたいに自ら燃えている星のこと」
「それは知っています」
「ところが今までの俺は恒星でも何でもない。親という名の、太陽の光を受けて光っているように見える惑星さ」
火星も金星も、夜空に輝く惑星たちが光るのは太陽の光が当たっているから。その星自身が燃えて輝いているわけではない。
「親の七光のいわれはここからじゃないのか。俺がそう思っているだけで、本当か嘘か、調べたわけじゃないが」
親という名の太陽……
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