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ブラッド&サンド ――切なさが止まらない 6
また、不本意にもセンター行きを命じられたという点で、建樹は面識のない雛形春菜に親近感をおぼえたが、だからといって鬱病になるまで自分を追い込むような真似だけはするまいと自らを戒めた。
「あらら、おしゃべりばかりしちゃってごめんなさい」
そう取り繕うと、彼女はパソコンの方へと向き直った。
「それじゃあ、機械の立ち上げからおぼえてもらおうかしらね。営業店ではこういうの使わなかった?」
「ええ、別の機種ならありましたが」
このパソコンの画面で操作できる機能の範囲はかなり広く、自分たちが使用する設定や照会の他にも、あらゆる業務に関する機能があり、パスワードひとつでそれがすべて使用可能なのだと建樹は知った。
「……とりあえずはここまででいいかしら。不明な点は何でも遠慮なく訊いてください」
「はい、わかりました」
仕事の内容はさほど難しくはないが、かなりの注意力と根気を必要とする。これはこれでけっこうな労力だが、顧客との直接の応対がない分、気が楽でいいと自分自身を納得させた。
さて、気負いしない程度にやろう。二つ上の階にいるであろう男の存在を心の隅にとどめつつ、建樹は画面を見つめ直した。
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