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ブラッド&サンド ――切なさが止まらない 9

 社内に自殺者がそう何人もいてはたまらないが、しかし…… 「オレの両親は十年ほど前に離婚して、姉を父が、オレは母に引き取られました。おまけに進学や就職してからは余計に家族バラバラになって……」  行き来もなくなってしまい、父や姉がどうしているのかわからなかったが、半年前に姉が自殺したと聞かされ、その直後に母が病気に倒れた。しかも父親までが自殺したというのである。 「元々病気がちだった母は姉を亡くしたショックで病状を悪化させました。二人を失った父も死への道を選び、半年の間に三人の葬式を出して、オレは天涯孤独というやつになりました」  それほどまでの悲劇をさらりと語る一耶を見つめながら、建樹は思うところの名前を挙げてみた。 「もしかして、そのお姉さんの名前は雛形春菜さん?」 「そうです。事務所で聞きましたか?」 「あ、ああ。今、僕はお姉さんと同じ仕事をしているよ」  成瀬は母親の旧姓だった。前任者が一耶の姉だったとは、少なからぬ因縁を感じる。 「じゃあ、自殺の理由も?」  頷く建樹にうっすらと微笑みを返しながら一耶は「やっぱり直接センターに入った方が有利だったな。何しろ会社そのものが違いますからね、調べるのに半月ほどかかりました」と述べた。 「鬱病と失恋が原因だって聞いたけど」

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