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ブラッド&サンド ――切なさが止まらない 12

 ああ、こんなふうにウキウキした気分になるのは何ヶ月ぶりだろう。 ──結局、建樹は一耶から紹介されたスポーツクラブへの入会を決めた。一耶がいるからではなく、健康作りのためだと自分に言い訳をしながら。  どんな仕事を続けていく上でも、一番大切なのは能力や要領よりも健康だと痛感している。もっと体力をつけて、病魔に打ち勝つ身体を作らなければならない。  城銀グループの者は社員割引が使えるのもさることながら、場所はD駅の南口前という便の良さが決め手になった。これなら退社後に途中下車して、いつでも立ち寄ることができる。  ビルの一階にはフロントと男女それぞれのロッカールームにプール、二階はトレーニングジムエリア、フィットネススタジオなど。三階に至ってはサウナやリラクゼーションルーム、軽食コーナーといった造りのこのスポーツクラブ、四階以上は事務所になっているらしい。  受付カウンターにて入会の手続きを済ませたあと、今日は手ぶらで来たからと、トレーニングウェアと水着をレンタルした。  ロッカールームへと赴き、まずはトレーニングウェアに着替えてジムで汗を流し、ロッカーに戻ると一耶に会った。  会えて感激だと言わんばかりの顔で、帰りに夕飯につき合ってくれという彼の言葉に曖昧な返事をし、今度はプールに向かう。  水泳部に所属したのは中学の時だけだったため、建樹は久しぶりにプールでの泳ぎを堪能した。全身運動にはなるし、水に身体を預けるのは何より気持ちがいい。

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