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ブラッド&サンド ――切なさが止まらない 14
「体調が良くないなら、無理せずに帰って休んだ方がいいんじゃないですか? ほら、駅前支店にいたときに病気で休職したって話してくれたでしょう。もしもまた悪くなったら心配ですし」
自分でも彼の言うとおりだと思うし、気遣いは有難いが、彼はこのあとも一緒に過ごしたかったのではないか。それをあっさり帰れとは、などとひねくれてしまった建樹はつっけんどんに訊いた。
「いくら自分の方が年下だからって、そんなに僕を年寄り扱いしたいのかい?」
「そういうつもりじゃ……」
建樹の、八つ当たりとも思える言動は弱り顔の一耶をさらに困惑させたようだ。
「それじゃあ君の勧めに従って、今日はこのまま帰るよ」
厭味っぽく言い放った建樹は引き止めようとしない一耶に対して苛立ちながら、さっさとその場をあとにした。
出会った夜も、そのあともだ。強引なようでいて、今ひとつ押しの足らない男への不満をくすぶらせながら、建物の表に出た建樹の後ろを一耶がついてくる。
「何のつもりだ?」
「送ります……その、良ければ近くまで。それがダメなら駅まで」
「必要ないよ」
「でも……」
しばらく躊躇した一耶は「本当に大丈夫なんですね?」と念を押した。
「しつこいな」
「すいません」
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