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スティンガー  ――危険な香り 10

 シングルプレイで終わるはずだった。  それなのにこれはロング・ヴァージョン、長きに封印され、三年ぶりに解き放たれた欲望はとどまるところを知らず、彼の肉体に、誘惑に溺れ、逢瀬を重ねている……  いつまでもこんなことが続くはずはない、続けてはいけないと思いつつも恒星の誘いに応じる自分の愚かさを建樹は呪ったが、こういう関係をセックスフレンドと呼ぶのなら、身体だけの繋がりだと割り切れるのなら、その方がまだ救われる。淫らなひと時が終われば、あとは他人だ。  二番目に愛しているなんて、口説き文句にしてもふざけ過ぎだ。危険な香りのする男の存在に、身体だけでなく心も虜にされてしまうなんて自分自身が許せない。  彼の気持ちがどこへ向いていようとも、想いを残さぬように、そうしなければ自分が苦しむだけだとわかっていながら思い通りにはならない、コントロールできない感情に建樹は悶々としていた。 「今夜は先約があるんだ。すまないな」  自分の知らない場所で、彼が誰と、どう過ごしているのか──ルミや、他の誰か(女?それとも男?)と一緒かもしれない──嫉妬で胸が張り裂けそうになるなんて愚の骨頂だが、会えない理由は絶対に訊かない。  訊いてしまったらこちらの負けだ。それが自分に残された、今にも消し飛んでしまいそうな、ちっぽけなプライドを守るせめてもの手段だった。

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