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プレリュード・フィズ ――真意を知りたい 3

「そういえば、母親に引き取られた弟がいると話していたが……そうか」 「貴方に情報を漏らそうとしたために、姉は支店を追われてセンター行きになった。それをずっと気に病んだ挙げ句に、貴方が他の女性と婚約したと知って自殺した」  雛形春菜の死の真相──一耶が探り当てた事実は建樹にとってこの上なく、残酷なものだった。  一耶と初めて出会った場所、それは恒星がオーナーを務める店、紫苑。どこからか情報を得た一耶は店に出入りすることによって、オーナーの正体を探っていたのだ。 「すべて承知していますよね?」 「もちろんだ」  恒星は遠い目をして語り始めた。 「遊びではないし、結婚を考えなかったわけじゃない。ただ、タイミングが悪かった。祖父が亡くなって思いがけず、千載一遇のチャンスが転がり込んだからだ」  先代社長の遺言状にあったという許婚の件か。恒星がルミとの婚約を選んだために、春菜は捨てられたのだ。 「仕事のこともそうだ。彼女を利用したつもりはないが、あんな結果を招いたのは俺だ。非は認める。しかし、半年以上も経って蒸し返す了見は何だ? あんたも金か?」 「何だって? あんたも金って、それはどういう意味だ」  一耶の語調が鋭くなる。恒星は彼と、それから建樹をチラリと見やった。 「別れ話を持ちかけたあと、すぐにあんたらの父上がやって来て、娘にした仕打ちに対しての慰謝料を払えと言ってきた。金をよこすなら、そちらとの結婚はあきらめるよう、娘を説得するともな」 「まさか……」

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