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プレリュード・フィズ ――真意を知りたい 8

「先程帰りました。残念ですが」 「そうでしたか。それにしてもお二人を置いて帰るとはつれない男だ。野暮用かもしれませんね」  吸ってもいいかと断りを入れると、将和はタバコをくわえた。 「彼はまあ、なかなかの発展家ですからね。私も職業柄、いろんな店に出向きますけれど、あちらこちらで評判を聞きますよ」  未来の義兄は恒星をどう思っているのか。少なくとも良い感情を抱いてはいないと建樹は推察した。  恒星本人の、ビジネスマンあるいは経営者としての手腕がどの程度のものかはわからないが、ホークカンパニーは明らかにお荷物であるし、浮気性の夫を持った妹に関して、金銭面はともかく、感情面での幸せは保証されないと考えて間違いない。  ルミ本人が恒星を気に入っているから声高には言われないが、過去の人となった老人たちの約束など、この際御破算にしたい。婚約を破棄して、妹にはもっといい婿をと願っているのでは。兄としては当然の心情だ。 「……男の甲斐性、などと古臭いことを言うつもりはありませんし、女性を蔑視するような発言が首を絞めると充分承知しておりますが、モテるというのもまた、才能のひとつでしょうね」  そんなふうに取り繕ってはみるが、面白くないと感じているのがありありとわかる。建樹は苦笑いを浮かべて「さて、どんなものでしょうか」と曖昧な言葉を返した。

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