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プレリュード・フィズ ――真意を知りたい 10

 将和は二本目のタバコに火をつけた。かなりのヘビースモーカーらしい、紫煙がゆるく立ち昇る。  彼の見込み違いのせいで鳶島建設が危機に瀕していると聞いたが、そのわりにはのん気で、鷹揚に構えている感じだ。 「城銀さんはもっとお優しいんでしょうね。恵まれない企業にも快く、愛の手を差し伸べてくださるんじゃないですか」 「さて、どうでしょう。私は支店勤務ではなくなったので、何とも……御期待に副えるコメントができなくて残念です」 「支店ではないというと、どちらに勤務されているのですか」 「業務センターです。H駅を最寄りとしています」 「ああ、あそこら一帯は城銀の本丸だと言われている場所ですよね」 「本丸ですか。上手いことをおっしゃる」  さすがは副社長、いろんな話を巧みに引き出そうとしている。  城銀の行員と知って、内部事情や自分たちに有益な情報を知りたがっているのでは。そうと察した建樹は何とか言い逃れをしたつもりだが、どこかでボロを出しているのではないかと不安になった。 「しかし、城銀の方だとしたら、鷹岡くんから融資のお願いなどをされたりは……いや、つまらない冗談を言って失礼。それは私自身の願望ですね」 「そういう部署に異動になったら、考えておきましょう」  建樹の返事を聞いて、将和は愉快そうに笑った。

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