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フォールン・エンジェル ――叶わぬ願い 7
いつものように紫のライトが照らす店で、バーテンダーがシェーカーを振っていた。
「今夜で閉店?」
「はい。ご愛顧ありがとうございました」
「そう。残念だね」
あの日と同じように一耶と建樹はカウンターの前に座っている。
何もかも、初めて出会った時のようだ。もう、後戻りはできないのに……
「せっかくだから、オリジナルなんかどう?」
「チナールをたっぷり入れるのは勘弁して欲しいね」
軽口を叩きながらもしみじみとする建樹を見て、一耶は優しく微笑んだ。
やがて扉が開き、黒ずくめの格好をした男が現れた。
ストゥールに腰を掛けると、恒星は一耶に向かって「あんたの勝ちだな」と表情を変えずに言った。
「勝ったなんて思っていません」
「ほう」
挑むような目をし、語気を強めた一耶はそれから、
「それより、城銀の行員である建樹に近づいた理由がよくわかりましたよ。建樹の立場を利用する目論見があった。最初からそのつもりでいたんですね。危うく姉の二の舞になるところでした」
「なかなか言うな。だが、利用するなんて人聞きが悪いぜ」
「さっき彼がどういう目に遭ったのか、わかってるんですか?」
これまでの、鳶島将和とその一派たちとの関わりを話したあと、一耶はきっぱりと言い切った。
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