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オールド・パル ――想いを叶えて 2
海岸線に沿ったハイウェイはどこまでも続くかと思われるように果てしなく、太陽は次第に傾き、空も海原も、ハンドルを握る一耶の横顔も茜色に染まる。
冗談を飛ばしていた男が無口になって、迫る夕闇の切なさに胸が締めつけられた建樹は瞼を閉じた。
今となっては遠い記憶でしかない日々──身体を満たされる歓びに溺れるまま、魅惑的で危なっかしい男に引きずられ、振り回される自分の姿を錯覚していたのだ、彼を愛していると……
いや、それも違う。
あの日の自分を否定はしない。
想いはそこにあったのだ。どちらがどうと決められずにいた、最後の瞬間まで。
いつしか陽は落ちて、空には金星が輝き始めた。夕闇の景色は後ろに飛び去り、渚の夜風が心地良く頬を撫でる。
ハイウェイを降りて、すぐ傍まで迫る海の方向へひた走り、脇道に入ってそのまま進むと、夏には海水浴客で賑わう浜辺に出るが、今は寂しく静まり返っている。
車体を停めてエンジンを切ると、わずかな光の下でも白い波頭が見え、穏やかに繰り返す波の音だけが聞こえた。
遠くに映る船の灯りを見つめながら、小さな溜め息をつくと「どうしたの?」と問う声が聞こえた。
「何でもないよ」
「あの人のこと、考えていたのかと思った」
「まさか……」
すべてを白紙に戻してアメリカへ渡ったと風の便りに聞いた。
そこはマンハッタンか、それともハーレムなのか。人生に悔いが残らないよう、かの地で彼なりの生き方を見つけている、そう思いたい。
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