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7.ウラアルファ〈3〉

「……行ったな」 「……はっ! っかやろテメエ!! いきなりなにしやがんだ!!」 やたらテンション高いなと思いつつ、終始心臓をバクバクさせながらかなり寿命が縮まってしまったのではないかと思う。 その上唐突に動き出され、最後の最後までハラハラし続けたこの俺に、一体どう詫びを入れるつもりなのか。 「ちょっとスリルを」 「ふざけんじゃねえ……!」 悪びれもせず言ってのける慶史にイライラしつつ、間近で睨みつけてやる。 「機嫌直せって。今度こそ、な?」 「んっ……! はっ、あ……ざ、けんなクソッ……けい、しっ……あ、ぁっ!」 怒りに息を荒くさせるも、慶史がまた耳元でふっと囁いてきたかと思えば、今度は激しく奥へと突き立ててきた。 「あっ! はっ……ぁ、あっ!」 前後ともに激しい快感の波に、結合部からはどう聞いてもいやらしい音がこの空間を支配していく。 荒いキスをし、体を揺さぶられながら慶史の唇から漏れる息遣いを耳に入れる。 「あっ、あっ……ん!」 慶史の顔を無意識に自分へと抱き寄せながら、込み上げてくる感情に怒りなどというものは全くなくて。 どんなことにこの先出くわしても、たぶんコイツとなら間違いねえ。 「あっ、け、いしっ……、はっ、ぁ!」 貴重だからな、この先一生聞けねえかもしんねえぞ。 だからよく聞きやがれ。 「あっ……! きっ……、す……きっ…好きっ…だ! あっ! けいっ…しっ……!」 「ひびき……!?」 実際問題もう、耐えられない。 「あっ……! ああぁっ!!」 慶史のあの驚いた声が、いつまでも耳に残って離れない。 「……んだよ、ニヤニヤ見てんじゃねえぞコラ」 まだ誰も戻って来ない内に学校をコッソリと抜け出して、一足先に下校していた。 それはいい、いいのだけれど。 ヘラヘラニヤニヤしたこの痛過ぎる視線を、一刻も早くどうにかして欲しいと思う。 「ん? あーなんでもないなんでもない」 「あァ? ムカつくんだよテメエェ……」 幾ら気が高ぶっていたからといって、あんな言葉を伝えるべきではなかった。 死ぬ程恥ずかしいけれど、今更もうどうにもならない。 慶史とは対照的に、イライラを募らせていくばかり。 「テメエなあ! いつまでもニヤついてんじゃねっ! ――!!」 これはもう一発殴って沈めるしかねえと思っていたところで、ビリリと突如走り抜けた痛み。 「つ……!」 途端にヘタリと力なく、その場にしゃがみ込んでしまった。 くっそ……、やっぱちょっといてえ…… 「お、どーした響」 「うっせえ」 「よし分かった」 「あァ?」 「俺が家までおんぶしてってやっからなー」 「はあっ!? ちょ、やめろ! やめろっつってんだろがテメ! 死ね! 拒否! くたばれ!!」 「あ、じゃあお姫様抱っこにしとくか?」 「くっだらねえこと言ってる暇があんならなァッ……、肩位貸しやがれこのボケッ!! 大体元はと言えばテメエがなあ……!!」 「はいはいはいはい。じゃ~おうち帰ろうな~」 「なっ! テメ俺が言ったこと聞いてねえじゃねえか! おろせ! おろせっつったらおろせ!!」 「興奮して背中に当てんなよ~?」 「バカかテメエはアァッ!!」 「あ~はいはいっと~」 「んだソレ! 俺はなあ! テメエのそういうとこが昔っから……!!」 「大好きなんだろ? ははっ、わ~かってるってえ」 「都合良く解釈すんなァ!! つうかまずおろせ!!!」 《END》

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