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第17話 本質は変われない 視点:颯馬

飛鳥は昔からずっとこうだと決めれば意思を曲げることがなかった。だから、飛鳥が京一のことを好きだと知り、京一と両想いにはなれないという事実を突きつければ飛鳥の気持ちを動かすことができるのではないかと思った。 事実を受け入れがたいのなら証拠を突きつけるつもりで昴には行為の一部始終をビデオ通話で表示させ、それを録画した物を見せつけてやろうかと思っていたのだが特に必要もないまま飛鳥は事実を受け入れた。 改めて動画を再生してみる。音声は残せなかったので、動画を観ても話の内容は最初の通話で聴いたものを頭で再生するしかない。 「天賀谷のやつ……本当に昴と付き合う気かよ」 既成事実だけでも作れればそれでいいと思っていただけにあんな提案をしてきた京一にも、絶対に自分から離れないと思っていた昴が提案を受け入れたことにも腹が立った。 腹は立つが、2人の情事を見ていると嫌でも熱が一点に溜まっていく。 颯馬はガチャガチャと乱暴にベルトを抜き、スラックスとボクサーパンツをずらして直接自分の性器を右手で掴む。 女相手なら多少経験はあるが、昴の中はどんな感じなのだろうか。あれで昴はわりと体温が高いのだ、だから中も熱いのかもしれない。筋肉がつきやすいことを悩んでいた体の抱き心地はどうだったのだろうかと気になる。 懐いてくるペットのようで愛らしいと思っていたその体が、画面越しでは官能的に男を誘っている。 画面に映る昴の腰の揺れに合わせて手を上下させると先走りが溢れてきて手を濡らしていく。 「っ……」 どくどくと自らの手に受け止めた白濁をぼーっと眺めて、意識がはっきり戻ってくると思わず舌打ちをしてしまう。 飛鳥のことを好きなのだと思いつつも、京一に抱かれる昴の姿を何度も思い出して欲情してしまう自分に気づきたくなかった。 「……俺も昔から変わんねぇな」 自分のモノにならないから欲しくなって、誰かのモノだから奪いたくなる。 そういった衝動は過去の思い出として置いてきたつもりだった。2人と再会してここ数年は落ち着いていたし、時々やらかしてしまったとしても肉体関係を持ってしまった相手の彼氏が部活の先輩の女だったとかその程度のことだ。 その時だって今ほどの興奮を覚えることはなかった。 「俺の幼馴染はほんと最高だわ……」 そう言って颯馬は机の上のガラスの写真立てに収められた3人で写った高校の入学式の写真を見つめたかと思うと、自分の手に付いた精液で飛鳥と昴の姿を優しく撫でたのだった。

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