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寝入りを邪魔したから、殴られるんだろうか?
仏頂面はそう思わせるには十分で……ごくっと喉が鳴った。
「っ!?」
ちゅっと耳を打ったリップ音に全身が強張る。
なにが、あった?
驚きに体が動かない。
「…………」
追い打ちのように、縁を赤く染めた目に睨みつけられて息も止まる。
「逆らわないんですか?」
そう言われても、驚きのあまりに硬直した体はなかなか動いてはくれない。
こいつ、今、ナニ……した?
微かに熱の残る唇が震える。
嘉納は軽く首を傾げるようにして、震えるオレの唇に再びキスを落としてきた。
「んぐっ」と声が突っ込まれた自分のネクタイで遮られ、喉の奥で儚く消えた。
イヤイヤと精いっぱいの抵抗で首を振るも受け入れてもらえず、ただ頭上で強く押さえつけられた両腕をもぞもぞと動かすしかできない。
その腕も、あまりにも暴れるからか隙を見てあっと言う間にベッド柵へと括り付けられてしまい、動くたびに嘉納の深いグリーンのネクタイが皮膚に食い込む羽目になった。
「んっんん……!!」
抵抗空しくあっさりと剥かれてしまった下半身を捩り、オレを組み敷いている嘉納を蹴り上げようとしたがそれも足を掴まれてしまえばどうすることもできない。
オレよりも大きな手に膝をぐいと押し広げられ、女のように広げざるを得なかった股に羞恥心が沸き上がる。
「ふ……ぅう!!」
「 コッチは?感じますか?」
乱れたワイシャツの中に差し入れられた指がくりっと乳首を引っ掻いた。
「んっ!!」
思わず腰が跳ねる。
ただの胸の飾りだと思っていた部分から感じる焦れるような震えに、はっと動きを止めてしまった。
皮膚の一部として、鈍い場所ではないとは思う、けれどそれ以上の認識のない箇所でもある。
自分自身の認識外の感覚に戸惑うオレを置いてきぼりにして、嘉納の指は止まらない。
「あぁ、弄られて勃ちましたね」
この状況において、いまだにポーカーフェイスを崩さないまま実験を観察するようにそう告げてくる。
「んーっ!」
こちらは必死にもがいているといると言うのに、嘉納は息一つ乱さずにくにりと乳頭を潰すように摘まんだり、爪先を掠めるようにしていたぶる。
その度にびりっとした刺激が体を突き抜け、発汗と共に体の力も奪っていく。
「 っ」
嘉納は指の間で擦られて赤く艶を増した尖りを一舐めし、なんの躊躇もなくボクサーパンツの前を掴んでくる。
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