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「乳首でこれだけ感じるのだから、コチラだとどれくらい乱れてくれるんですかね?」
男に襲われかけていると言う状況にも拘らず、はっきりと形を変え始めていた股間から手が離れてほっとした瞬間、尻を触りと撫でられた。
「ひ 」
ポロリと嘉納が漏らした言葉を反芻し、コチラに思い至って血の気が下がった。
冗談じゃない!
明確に突っ込まれると宣言され、一層身を捩って嘉納を押し返そうとしたが、筋肉質で重量感のある体が揺れることはない。
「嬉しいんですか?」
勘違いも甚だしい言葉を吐きながら、誰かが置いたままにしてあったハンドクリームのチューブを取るのが見えた。
何をするつもりかと問う前にオレの下着をずり下ろし、穴の中へと流し込んでくる。
「っ!んんんんんっ!」
腹の中に冷たい異物があるのがわかる。
それがどう言った目的でもって流し込まれたのかは容易に想像ができてしまって……
やめろ!放せ!と叫ぶ声もすべて塞がれ、血の気が引いた体が言うことを聞かずにカタカタと震える。
その体の揺れを嘉納は気づいたのか気づいてないのか、動かない表情のまま手品のようにピンク色の四角い小さな物を取り出して、器用に口と片手でそれの封を切った。
初めて見るものではない。
薄いピンク色のコンドームは包装紙の模様通りの甘ったるいイチゴの匂いがして、卑猥さと匂いの落差に眩暈がした。
淡々とした表情のまま、嘉納はゴムをつけた手で股を探り始め、抵抗はしてみたもののあっさりと指先の入る感触がした。
「ぅんっ!」
触診とはまた違う動きと感触に身体中にびっしりと鳥肌が立ち、震える程に力が入る。
「息を吐いて力を抜いて。指が動かせませんよ」
教えるようにナカでぐにぐにと指が曲がり、内壁を撫で擦っていく。
その感覚が気持ち悪くて、嘔吐くように喉が鳴り、更に奥に侵入してくる気配を感じて尻が逃げを打った。
それを引き戻され、指がぐぃと奥まで入る。
「 っ」
ひぃ……と、口の中のネクタイのお陰で惨めったらしい声を上げるのは避けられたが、指の蹂躙は止まらず……
「上手く力が抜けましたね。これで貴方のイイトコロが触れます」
訳のわからないことを表情の欠片もない顔で言い放ち、ナカの指を動かし始める。
───ビリッ…と、ナニかが体を突き抜けた。
「ぅ…ぐっ!?」
襲われたのは恐怖。
初めて感じるその感覚に…身がすくむ。
「ココは?お好きですか?」
そう問われても、生まれて初めて触れられて感じるその感覚に、良いも悪いも分からなかった。
ただ何か……最後の砦的なものが突き崩されそうな恐怖心だけがにじり寄ってきた。
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