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いやだと必死に首を振るも宛がわれた熱量に、先程の甘い痺れも吹っ飛んで腕に力を込める。
「残念な事に、平均サイズだから怯えることはないですよ」
嘘だ!なんて言葉を怒鳴る事が出来る訳もなく、先程まで指で解されていた所に先端が入り込……
~~~! ~~~! ~~~!
無機質な呼び出しの音に、ほっとできることがあるなんて思わなかった。
「……はい」
条件反射なのだろうか?
こんな事態の中、あっさりと看護婦からの呼び出しの電話を取り上げる。
「はい。すぐ行きます」
ふっとこちらを見下ろす顔は、性交を邪魔された人間では無いような程に無表情で……
あれ程抵抗しても揺るがなかった体があっさりと離れて手早く身なりを整え出す。
オレを拘束していたネクタイを外し、皺を伸ばしながら首に巻いた。
「呼び出しがあったから行ってきます。待っていてくれると有り難いです」
ぬけぬけと言い放ち、飛び散っていた精子をティッシュで拭い……そこには淫靡さの欠片もない姿があった。
後は無表情のまま仮眠室を飛び出していき……
そこに残されたオレは転がるように逃げ帰るしかできなかった。
よく事故らなかったもんだと言いたくなる運転でマンションに辿り着き、靴を脱ぐ前に玄関の中で腰が抜けた。
「あ あ……な、なんなんだ!?なんなんだっ!!」
近所迷惑だとか考えずに大声で叫んだ所で全身に震えがきた。
ぶるぶる震える手は自分の体を抱こうとしても全く力が籠らない。
爪が僅かに引っ掻くように動くだけで、くすぐったいだけだった。
震えを止めたくて小さく体を丸めて突っ伏する。
「 ぅっ……、ぅ……」
いい年をした男が、ガタガタ震えて玄関で泣くなんて滑稽だろうと思ったが、体は動かず涙だけがせり上がる。
こわい
小さな子供のように思う。
押さえ付けられることも、
いいように体をまさぐられることも、
自分でも触ったことがないような箇所に触れられることも、
無理矢理、快感を引き出されることも……こわい……
「────っ」
ざわっとしたモノが尾てい骨の辺りから駆け上がってくる。
御しがたいその感覚が何か分からず、ぐっと唇を噛み締めてソレが行き過ぎるのを待った。
未遂だと、言ってしまえば未遂だ。
けれど……
「……こ、わ 」
暴行を受ける女性の気持ちが分かる日が来るなんて思わなかった。
〜〜…〜〜…
「!?」
ポケットの中で鳴り出した呼び出し音に大袈裟に体が跳ねる。
処置を終えた嘉納がかけてきたのか?
そう考えるとポケットから携帯電話を出すことも躊躇われた。
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