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「────どうして、感じてるんですか?」
やめろ! と声を上げる間もなく、嘉納の手を下半身に感じた。
鷲掴むようにされたそこは……
「 ほら、勃っていますよ」
指摘されて羞恥心がどっと押し寄せる。
「ち、ちが 」
ふうん と表情のない顔が肩越しに覗き込んできた。
避けるように顔を逸らすも、股間の手に力が籠る。
「出しますか?」
「はぁ!?」
「貴方をイかす位の時間はありますよ?」
「ふざけんな!」
そう怒鳴るも、押し退ける力が弱々しいのは自分が一番よく分かっている。
けれど、今ならまだ出さなくとも心を落ち着ければ収まりがつく。
「離せ」
極力低く、脅すように言った言葉は……
しかし、嘉納から「可愛いですね」の言葉しか引き出せなかった。
先端を指先で刺激され、呆気なく嘉納の掌に欲を吐き出した。
「あ……───っぁあ!!」
ぶるぶると体を抱く腕にしがみつく。
はっとするほど温かな体温が、嘉納の存在を際立たせる。
射精後の気怠さと爽快感 そして、小さな物足りなさに小さく唇を噛み締めた。
「足りませんか?」
見透かすような声は、オレの精液を弄ぶ嘉納から聞こえる。
何故ばれたんだ?
極々小さな不満だった筈だ。
無視してしまえば流せてしまう、そんな小さな不満。
「こちらの味、覚えていますか?」
「!?」
布越しにぐぃと指がアナを突き上げる。
思わず腰が揺れ、「あ 」と小さな声が上がった。
ナカを蹂躙されたあの時の感覚は、屈辱の記憶だったが同時に視界が白く染まる、あのどうしようもない程の快感が伴う。
「 こんな事して… な…何が目的なんだ……」
身を捩りながら問い掛けると、嘉納は答えに間を置く。
「──触りたかった では、いけませんか?」
「は…?」
「ずっと貴方に対して性的興奮を覚えていたのですが、いけませんか?」
理由にはなりませんか?と、重ねて尋ねてくる。
いいか悪いかで尋ねられれば…
オレはゲイではないし、良くはない…
良くはないが…
善かった。
貴方は気持ちいいことに弱いから…と、笑う陵子の顔が脳裏を過る。
「初めてであれ程乱れたのならば素質は十分です」
清涼感を感じる筈の息が、とろりと怪しい雰囲気を纏って耳に流れ込む。
「────もっと、気持ち良くなれますよ?」
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