21 / 28

19

「────どうして、感じてるんですか?」  やめろ! と声を上げる間もなく、嘉納の手を下半身に感じた。  鷲掴むようにされたそこは…… 「  ほら、勃っていますよ」  指摘されて羞恥心がどっと押し寄せる。 「ち、ちが 」  ふうん と表情のない顔が肩越しに覗き込んできた。  避けるように顔を逸らすも、股間の手に力が籠る。 「出しますか?」 「はぁ!?」 「貴方をイかす位の時間はありますよ?」 「ふざけんな!」  そう怒鳴るも、押し退ける力が弱々しいのは自分が一番よく分かっている。  けれど、今ならまだ出さなくとも心を落ち着ければ収まりがつく。 「離せ」  極力低く、脅すように言った言葉は……  しかし、嘉納から「可愛いですね」の言葉しか引き出せなかった。  先端を指先で刺激され、呆気なく嘉納の掌に欲を吐き出した。 「あ……───っぁあ!!」  ぶるぶると体を抱く腕にしがみつく。  はっとするほど温かな体温が、嘉納の存在を際立たせる。  射精後の気怠さと爽快感 そして、小さな物足りなさに小さく唇を噛み締めた。 「足りませんか?」  見透かすような声は、オレの精液を弄ぶ嘉納から聞こえる。  何故ばれたんだ?  極々小さな不満だった筈だ。  無視してしまえば流せてしまう、そんな小さな不満。 「こちらの味、覚えていますか?」 「!?」  布越しにぐぃと指がアナを突き上げる。  思わず腰が揺れ、「あ  」と小さな声が上がった。  ナカを蹂躙されたあの時の感覚は、屈辱の記憶だったが同時に視界が白く染まる、あのどうしようもない程の快感が伴う。 「 こんな事して… な…何が目的なんだ……」  身を捩りながら問い掛けると、嘉納は答えに間を置く。 「──触りたかった  では、いけませんか?」 「は…?」 「ずっと貴方に対して性的興奮を覚えていたのですが、いけませんか?」  理由にはなりませんか?と、重ねて尋ねてくる。  いいか悪いかで尋ねられれば…  オレはゲイではないし、良くはない…  良くはないが…  善かった。  貴方は気持ちいいことに弱いから…と、笑う陵子の顔が脳裏を過る。 「初めてであれ程乱れたのならば素質は十分です」  清涼感を感じる筈の息が、とろりと怪しい雰囲気を纏って耳に流れ込む。 「────もっと、気持ち良くなれますよ?」

ともだちにシェアしよう!