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 枕を抱え込むようにして尻を上げる。  恥ずかしすぎるその体勢に、ふと我に返っては、 「何してるんだろう……」  と、往生際悪く呻いた。 「貴方の尻の間にローションを垂らして解そうとしています」  そんな説明が聞きたい訳じゃない!と言う言葉も、指が後蕾に触れれば飲み込むしかなく……  変な声が出ないように枕に顔を押し付けた。 「息が出来なくなりますよ」  何故この状況下でこの男の声は平坦なのか。 「不安なら、顔を見ながらしましょうか?少しは安心できると思いますが」 「っ……」  ムードも何もない言葉に、泣きそうになってくる。  そんなオレをくるりとひっくり返し、嘉納がのし掛かってきた。 「どうですか?」 「うるさいっ」  こっちは男と本腰入れて抱き合うなんてした事がない。  感想なんか聞かれても答えられなかった。  裸体の嘉納が嫌でも目に入る。  オレは男でも小さい方じゃないし、ほっそりしている訳じゃない、それでも、嘉納を見ると自分が貧弱じゃなかろうかと言う気になってくる。 「ぅ あ   」  肩幅が広いのだと、後ろに指を入れられてすがり付いた際に分かった。  自分が小さくなったような気がして、幼い時に父に抱き締められるとこんなだろうかとぼんやりと思う。  ヌチ…… 「 ひ……」  自分のソコが立てたイヤらしい音に思考を引きずり戻され、怯えたように嘉納を見上げた。 「誰を想っています?」 「え?」 「こちらを見ていて下さい」  唇が落とされ、太股に熱いモノが擦り付けられる。  微かに冷たい軌跡が残るのは、猛ったソレが先走りを流しているからだろう。 「今から貴方を抱くのは私です」 「ぁ…ああ……」  感情なんて表に出ていないような面をしているのに、その目には微かに浮かぶのは……  苛立ち?  怒り?  どうしようもない程の欲情? 「私を見ていて下さい」  ぬるりと太股が濡れる。 「……興奮、しているのか?」 「演技では勃ちませんよ」 「そう……か」  男である嘉納が、オレに欲情しているのかと思うと胸の奥が微かにくすぐったく思えた。

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