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第11話 *

 光斗が上がけを(まく)って、ジャージを下ろす。するとプルンと赤らんだ性器が出てくる。双子の弟のものだから、恥ずかしさよりも世話をする保護者のような気持ちのほうが先に立つ。陽斗は性器をティッシュでそっとくるんでやった。 「……ん、ぁ、はぁっ」  先端をやわらかく刺激された光斗が、甘い声をあげて精を放つ。  子供が産めるオメガだって、勃起もするし精子も作れる。不思議なことだが、両性の生物は他にも地球上にいるのだからそういうものなのだろう。 「ごめ、陽斗」  光斗は陽斗の首に手を回したまま、シュンとした顔で謝った。 「いいよ。気にすんな」  発情中は理性もモラルもなくなり、ただ性欲だけにとらわれてしまうオメガの苦しみは陽斗にだって理解できる。  光斗は快感の余韻にトロンとした目で陽斗を見てきた。 「陽斗がさぁ、オレのアルファだったらよかったのに」 「なんで」  苦笑しながら弟の服を直してやる。 「だって、オレのこと一番よくわかってるし、頼りがいあるし優しいし」 「そか。ありがとな。でも大丈夫、お前の運命の相手は、きっとこの世界のどこかにいるよ」 「だといいんだけどね」 「あ、そうだ、手紙きてたんだ」  陽斗はポケットからクシャクシャになった手紙を取り出した。バース性専用マッチング会社のものだ。 「どうせ今回も、マッチング相手はいないよ」  光斗が肩をすくめる。 「そう言うな。てか、何か食べないか。腹に入れないと体力持たないぞ」 「……うん」 「鳥雑炊は? それぐらいなら食べられない?」 「うん! それなら食べる!」  ニコッと笑った弟に「ならローター抜いとけ」と言い残して部屋を出る。そうして台所へと向かった。

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