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第18話
「連絡取る予定もないし」
「それじゃあ、もしも、君が僕に連絡したくなったら、SNSに何か書きこみしてくれればいいよ。すぐに迎えにいくから」
「……あんた、どこまで俺の個人情報を把握してんだよ」
「法に触れない範囲で、ありとあらゆる手段を使って」
「ストーカーかよ!」
優秀なイケメンアルファなのに、いったい何してんだ。
「あのね、ストーカーってのは、恋をした相手に執着して、つきまとって、でも報われなくて嫌われる者のことを言うでしょう? けど僕の恋は成就するだろうから、ストーカーとは言わないんだ。相思相愛ならボディガードみたいなものだよ。見守り隊だ」
「なんだそれ。変な理屈だな……」
ていうか成就する前提なのか。これからのことなんて誰にもわからないのに、随分と自信満々だ。
「君を守りたいんだよ。ただそれだけだ」
高梨はゆったりとシートに腰かけて足をくんでいる。少し首をかしげてこちらを見ている姿は、堂に入った男前だ。陽斗は心臓がふたたび不穏な鼓動をきざみ始めるのを感じて、慌てて目をそらした。
車はすべるように首都高を走り抜け、湾岸線へと向かってゆく。やがて宵闇にビル群が輝き始めるころ、開発の進んだベイエリアの一角へとたどり着いた。周囲には商業ビルやホテルがならび空港も近い。
繁華街近くの、人通りの多い駅の真向かいに、見るからにハイグレードなホテルが一軒建っている。車はそこのエントランスへと入っていった。
入り口前に車がとまると、外からボーイが丁寧にドアをあけた。
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