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第27話 不埒なアルファ*
◇◇◇
目を覚ましたのは、寝心地のいいベッドの上だった。暗闇の中、フットライトが部屋のすみをほのかな橙 色に照らしている。大きな窓はカーテンがあいていて、視界の端に夜空が見えた。
「……ん」
陽斗は寝返りを打とうとして、何か重いものに身体を包みこまれていることに気がついた。大きな物体が自分にのしかかっている。そして、それからはほんのりといい香りがした。
「……あ、何?」
掠れ声をもらす。するとその重い塊はゆっくりと動いて、陽斗の首筋をくすぐった。
「……や」
首輪との境目の肌に、やわらかくて湿ったものが押しあてられ、陽斗は目を瞬かせた。
「え?」
両手を動かして、自分の上にあるものの正体をたしかめる。手にYシャツの生地らしきものが触れて、もしかして密着しているのは高梨ではないかと気づいた。
「ちょっ……なに、高梨さん?」
シャツを掴んで身をよじる。離れようとしたら闇の中から切羽つまった声が聞こえてきた。
「君は嘘をついた」
「え」
「僕に嘘をついた。何が発情しないだ。このフェロモンは何なんだ」
「ええ?」
「すごく甘い……君の香り。ああ……ほんのわずかだけど、ほら、……ここから」
「あッ」
高梨が耳朶を甘噛みする。
「……やめっ。ええ……? 嘘だ。そんな馬鹿な……あっ」
男の手が陽斗のデニムパンツの前をあける。そしてボクサーパンツの中に手のひらを入れてきた。反射的に足をとじる。
「あっ、……あ、やっ……やめ……っ」
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