28 / 158
第28話 *
「運命のオメガにこんな不埒な技をしかけられて、我慢できるアルファがいると思ったのかい」
「何言って……俺が、フェロモンを出すわけない……」
「でもこの香り。まるで深い森の中に咲く一輪の百合のような、凜とした香りは……間違いなく君の身体から出ている」
「まさか……」
言われて、陽斗は高梨からも甘い香りがしていることに気がついた。これはアルファフェロモンだ。そしてアルファフェロモンは、大抵の場合、オメガフェロモンに誘発されて発生する。
「嘘だ……嘘……だって、今まで一度だって……」
それが今夜、ここでどうして。
「僕と出会ったからだろう」
「けど、発情は、していない」
発情の兆候は感じられない。身体も熱を持っていないし、激しい性欲も感じられない。
「多分、これから起こるんじゃないかな。ここを、こうすれば」
「――ああッ」
高梨の手が、陽斗の半勃ちの性器を掴む。そうしてやわやわと扱き出す。
「やめて、……そんな、んァ、やっ……」
指先で先端をなでまわし、小さな孔をえぐるようにする。
すると意思に反して雫がにじみ出す。高梨をぬめりを使って裏筋も刺激した。
「……や……っ、も、ダメ……やめ、てッ」
逃げようとしたら、乳首に吸いつかれる。両手を相手の肩にあてて押そうとするが、アルファの腕力には叶わない。高梨は岩のように頑丈で、びくともしなかった。
「……甘い肌だな」
「おねが……やめ……て……」
「やめていいの?」
そう言いながら手も唇もとめずに、下肢と乳首を刺激し続ける。
ともだちにシェアしよう!