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第28話 *

「運命のオメガにこんな不埒な技をしかけられて、我慢できるアルファがいると思ったのかい」 「何言って……俺が、フェロモンを出すわけない……」 「でもこの香り。まるで深い森の中に咲く一輪の百合のような、凜とした香りは……間違いなく君の身体から出ている」 「まさか……」  言われて、陽斗は高梨からも甘い香りがしていることに気がついた。これはアルファフェロモンだ。そしてアルファフェロモンは、大抵の場合、オメガフェロモンに誘発されて発生する。 「嘘だ……嘘……だって、今まで一度だって……」  それが今夜、ここでどうして。 「僕と出会ったからだろう」 「けど、発情は、していない」  発情の兆候は感じられない。身体も熱を持っていないし、激しい性欲も感じられない。 「多分、これから起こるんじゃないかな。ここを、こうすれば」 「――ああッ」  高梨の手が、陽斗の半勃ちの性器を掴む。そうしてやわやわと扱き出す。 「やめて、……そんな、んァ、やっ……」  指先で先端をなでまわし、小さな孔をえぐるようにする。  すると意思に反して雫がにじみ出す。高梨をぬめりを使って裏筋も刺激した。 「……や……っ、も、ダメ……やめ、てッ」  逃げようとしたら、乳首に吸いつかれる。両手を相手の肩にあてて押そうとするが、アルファの腕力には叶わない。高梨は岩のように頑丈で、びくともしなかった。 「……甘い肌だな」 「おねが……やめ……て……」 「やめていいの?」  そう言いながら手も唇もとめずに、下肢と乳首を刺激し続ける。

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