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第29話 *

 小さな赤い粒をチュッと吸われて舌先で転がされ、同時にペニスをこすられたらもう、我慢できずに甘い声が次から次へとあふれてきた。  高梨の指使いは的確で、感じるところばかりを責めてくる。痺れるような気持ちよさが胸と性器を(さいな)んだ。 「やぁ、……んっ」  信じられないくらいか細い声がもれる。自分じゃないみたいで恥ずかしさに死にそうになった。 「これは嫌なんだね、わかったよ。じゃあこっちを」  右の乳首から左へと移動する。 「ちがァ、ァ……んっ」 「どこ、どこが違うの? こっち?」 「あっ、そこッ、いッィ」 「そうか、ここか」  自分が何を口走っているのか、わからなくなってくる。  高梨は手際よく陽斗の服をすべて脱がすと、自分も器用にスーツを脱いだ。気づけばふたりとも全裸だ。  どうしてどうして、こうなってしまった、と考えている間に、高梨にキスをされ肌をなでられ、そうしてペニスを扱かれる。発情していなくてもアルファフェロモンの影響なのだろうか、自慰よりも格段に気持ちいい。  オメガの陽斗が発情していないのに、アルファの高梨は勝手に発情しているらしく情熱的な手つきで翻弄してくる。 「ああ、あァ……、んも、達き、そ……ぉ……ッ」  背をのけ反らせて喘げば、高梨の指が性器の後ろ、とじた場所に忍んできた。 「まだ硬い」  当たり前だ。発情していないのだから。

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