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第30話 *

 オメガは発情すると、後孔が自ら濡れる。けれど濡れるのはそのときだけだ。  陽斗は自分が発情していないという自覚があったので頭のどこかで冷静に分析していた。 「仕方ない、ココだけ抱きあわせよう」  そう言うと高梨が、根元に瘤のついた太く硬いペニスを、陽斗の若干細めな茎に添わせてくる。 「……え」  高い体温が、触れあった場所から伝わってきた。ジン、と痺れるよう熱が裏筋あたりにやってくる。  陽斗は快楽の予兆に内腿を震わせた。 「何……」  「じっとしててね」  優しく言うと、二本を一緒に握りこむ。そしてゆるゆると手のひらでこすり出した。 「ア、ああ、や……、ッ、それ、すご、いッ、すごく……っ」  他人の手で感じさせられるのは初めてで、こんな快楽がこの世になったのかと思わされるほど気持ちよくなる。予測できない動きは快感を助長し、陽斗は自分でも信じられないほど身悶えた。  抑えようにも抑えることができなくて、身体が勝手に陸に揚げられた魚のように跳ねてしまう。 「は、は、はぁ、も、もダメ……も、高梨さ、ダメって……ああ、も……」 「達っていいよ。すごく素敵だ」 「アぁやだもう……」  最後は涙目になって射精した。  快楽がとまらなくて、続けて何度も、高梨の手に精を吐き出してしまう。  ヒクヒクと震えるペニスからたれる雫がとまらない。  それを男は、銀の瞳を細めて嬉しそうにいつまでも見つめていた。

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