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第45話

「陽斗君、君は、僕のことをどう思ってる?」  陽斗は目を瞬かせた。 「どうって?」 「どれくらい、好きでいてくれるのか教えて欲しい。十段階でいくつぐらい? 僕のほうは数字なんか振り切れるほど君に惹かれてるけど、君はどうなの?」 「……俺は」  相手と視線をあわせたまま、陽斗は口ごもった。  高梨のことを、自分はいったいどう思っているのか。  初めて会ったときから惹かれていた。心の奥、本能がキュウッと絞られるような感覚があった。十段階といわれても、そんなものじゃこの感情ははかれない。  けれど同時に、反発も覚えていた。身分の違いに。そして怯えていた。発情がないことに。色々な要素が絡まりあっていて、咄嗟には答えられなかった。 「……俺は、……どうだろ」  もしここで満点ですと言えば、そんなつもりはなくとも、まるで高梨の地位と財産を狙っているかのように嘘っぽく聞こえてしまう気がした。だから諸手をあげて十点です、とは言えなかった。  陽斗は言いよどみながら、「……五点ぐらい、かな」と呟いた。高梨がそれに納得したように頷く。答えは最初からわかっていたと言いたげな顔で。 「それでも君は僕に助けてもらいたいんだね」  ――卑怯で最低な奴だな俺は。  どうして五点なんて言ってしまったんだろう。本当はもっと惹かれてるはずなのに。けれど今更、変更もできない。「やっぱりもっと好きです」なんてわざとらしくて伝えられなかった。 「光斗君のために、自分は犠牲になってもいいと考えてる?」  高梨の口調が、少し平坦なものに変わった。感情が抜けてきているようで、陽斗は眉をよせた。 「君の考えていることぐらい、すぐにわかるんだ」 「……」 「全部顔に出るから」  顔がカッと赤くなる。羞恥に陽斗は彼から目をそらした。 「どうすればいいんですか」  高梨の腕の中から逃げだそうと、わずかに身じろぐ。けれど男は力強い腕で陽斗を囲いこんで離さなかった。

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