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第47話

「光斗君の安全は期限なしで保証しよう。望めば僕の持つネットワークを駆使して運命の番を見つけてあげてもいい。不可能ではないはずだ」  光斗の将来を保証されて、全身から力が抜ける。では発情しなくても一ヶ月間我慢すれば、弟は救える。 「君の仕事も見つけてあげる」 「……いや。それは、いい。仕事ぐらいは、自分で見つける。そこまで世話にはなれない」  ふうん、と高梨が頷く。 「わかった。では、一ヶ月の間、今のバイトをやめて僕の家にきてもらえるかな。二十四時間、僕のために働いてもらう。その代わり給料も出そう。それでいいかい?」 「給料はいらない」  陽斗は首を振った。 「光斗の世話をしてもらうのに、それ以上、お金なんて受け取れない。俺んちの生活は厳しいけど、蓄えは少しだけならあるし」  金銭のやりとりはキッパリと断ると、高梨は感心したように再度頷いた。 「わかった。なら君の望むようにしよう」  そして、背中をポンポンとかるく叩く。 「僕は君のために光斗君を助ける。その代わり君は僕のために発情する努力をする。そういう契約だ。いいね」 「うん」  陽斗は納得して首肯した。 「じゃあ、明日、早速迎えにくるよ。そのときに詳しい書面も交わそう」 「……うん、わかった」  高梨が優しい瞳に戻って微笑む。陽斗は相手の気遣いと、そして手際のよさに感心せずにはいられなかった。    この人ははきっと、陽斗の性格を理解して、こんな取引を持ち出してきたのだろう。何もかもを手放しでプレゼントしたとしても自分は受け取らなかっただろうし、この契約をすれば、発情の可能性も残されるし、――高梨は自分の欲望も満足させられるだろうから。  でも、発情しなかったら、一ヶ月後には(もてあそ)ばれて捨てられる。  その可能性に寒気を覚えて、陽斗はブルリと背筋をわななかせた。

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