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第58話 *

 未知の場所を開拓するように、シリコーン製の棒は遠慮なく奥に入っていく。その度に、隘路が愉悦にわななく。こんな快楽を覚えてしまったらもう、普通の人間には戻れない気がした。 「ァぁ……は、も……ッ、も、ダメ……っ」 「ん。引っかかった。ペニスの根元に着いたみたいだ」  限界を訴える声にブジーがとまる。これで終りかと、陽斗はホッと息をついた。けれど、違っていた。 「じゃあ、これからもっと奥の、オメガ宮のすぐ近くまで入れていくから」 「え」 「オメガ宮は前立腺の手前にあるんだ。妊娠するときはもっと腸側にあがっていくらしいんだけどね。今はここで眠っている」 「あ! ひゃっ!」  高梨がブジーを動かして、角度を変える。そうしてさらに奥まで挿入した。 「あ! や! そんな奥まで……っ。ああ……っ」  陽斗は天をあおいで、衝撃に耐えた。身体の中で、ウニウニと揺れながらブジーがふたたび進行し始める。口を大きくあけてあえぐと、全身が電撃を浴びたように痙攣した。 「ああ、ぁ……ぁ、ぁ……」  体内で痺れるような快感が弾ける。気持ちいいとか言葉では表せないくらいの、大きな性感だった。 「この辺りかな」 「ああ、ぁぁっ、も、も、そこ」 「ここかい?」 「そこ、へん」 「あたってる感じがするかい?」 「わ。わかんな、ぁ、ぃッ」 「うん、ここの粘膜の後ろがちょっと硬いから、ここだね」 「そこ、そこ」 「よし」  ブジーの細い部分は二十センチ程の長さがあったが、それがすべて陽斗の中に収まってしまう。

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