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第60話 *

 乱れ狂う陽斗と対照的に、高梨は至って冷静に状況を分析している。  下半身を露出してはしたない声をあげる自分と、一糸乱れぬスーツ姿のまま手を動かして観察する相手。その温度差に泣きたくなる。 「たか、たかなし、さ、も、も終りにして……」 「もう限界かい?」 「も、げんか……ぁ、ぁぁっ」 「でもまだ挿れたばかりだよ」 「もう終り、終りだから……っ、ァァんっ」  涙はボロボロ出るし、それ以外の水分も顔を流れている。こんな情けない姿を、これ以上さらしたくない。 「そんなにいいのかい?」  低音の官能的なボイスできいてくる。彼自身にも興奮が滲み始めていた。 「いい、ィィ、イイからぁ……っ」 「挿入してから五分か。じゃあ初回はここまでにしとこう」  ノートPCの時計を確認して、高梨は何か数値を打ちこむ。画面にはカルテのような表が表示されていた。 「よく頑張ったね」  あやすように言いながら、高梨が今度はブジーをゆっくり抜いていく。 「ぁ……ぁ……ぁ……ぁぁ」  粘膜がこすられて、性器がまた何とも形容しがたい快楽に包まれる。ブルブルと痙攣するように全身をわななかせた。 「よし、抜けた」  先端が孔から出た瞬間、陽斗は突きあげる射精感に見舞われた。 「ぁん! ……ッあ……っ」  飛沫が勢いよく吹き出て、高梨のシャツにまで飛んでいく。高価そうなネクタイに白濁がかかり、雫がべっとりと付着した。

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