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第76話 甘い治療*
◇◇◇
その夜は、九時すぎに高梨が陽斗の部屋にやってきた。
シャワーをすませて準備をしていた陽斗は、少し緊張しながら彼を迎え入れた。
高梨もシャワーを使ったのか、ゆったりとした部屋着になっている。コットンの白色Tシャツにジャージ素材の黒色ボトムは、まるでハリウッド俳優のプライベート服のようにさりげなく、かつお洒落だ。
さっきの会話があったせいか、昨日よりずっと彼を身近に感じてしまう。そのため昨夜より羞恥心が大きく育っていた。
どうしよう。また、あの椅子で甘い責め苦をされるのか。そう考えただけで、未成熟な性器がしっとりと重くなる。陽斗が頬を淡く染めて、困ったように治療用の椅子に視線を流すと、それに気づいた高梨が優しく陽斗の肩に手をおいた。
「今日はベッドにいこうか」
耳元に顔をよせてささやく。陽斗はピクリと肩を跳ねさせ、それから小さく頷いた。
ベッドなら昨夜のような淫らな体勢は取らずにすむ。
しかしそれは陽斗の考え違いだった。
高梨は昨夜と同じように、まずバスルームにいって手を洗った。戻ってくるとアルコール消毒をしつつ、低い声で命令する。
「じゃあ服を全部脱いで。シーツにうつ伏せて」
艶めいた声音には、期待と昂揚が含まれていた。
「……ん、はい」
陽斗は震え始めた手で服を脱いでいった。秋口の夜気は、服を着ているときはさほど冷たさを感じさせないが裸になるととたんに肌を刺してくる。緊張からか寒さからなのかわからない武者震いをひとつして、陽斗は裸になるとベッドに横たわった。
シーツに頬をつけて高梨を待つと、男は小机からアタッシュケースを手に取り、ベッドに乗りあげ、陽斗のちょうど尻のあたりに腰をおろした。
「膝をついて、可愛いお尻を持ちあげてね」
ケースをあけながら優しく言う。陽斗は素直に従って、腰を高く掲げた。相手からは自分の尻が奥まで丸見えだろう。
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