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第77話 *

「今日は縛らないから。その代わり最後まで腰はおろしちゃダメだよ。さあ、足をひらいて」  言われるがままに、両足を広げる。  やわらかな肉茎や(ふくろ)が、皮膚の支えを失ってフルフルと小刻みに揺れた。隠れていた後孔が、警戒して自然とすぼまる。その動きも全部、相手に見えているのだと考えれば、恥ずかしさに消え入りたくなる。けれど反対に、幹は興奮に硬くなった。 「今夜は後ろから前立腺を刺激して、同時に前からオメガ宮を押してみよう」  そう言うと、ケースから不思議な形状のシリコン器具を取り出す。ゆるいカーブを描く器具はきっと前立腺用アナルプラグだ。 「じゃあまず、これから入れていこうね」  高梨がゼリーのボトルをあけて、中身を尻の狭間にとろりとたらす。水っぽい感触に皮膚が粟立った。  果てしない夜の始まりを予感して、茎の先端に雫がにじむ。何をされるのか考えただけでこんなにも反応してしまうなんて。  きっと今夜はフェロモンが放出される。  ジクジクとうずき始めた下半身を持てあましながら、陽斗は高梨が器具を挿入するのを目をとじて待った。 「入れるよ」  ゆっくりと、冷たいプラスチックが身体の中に入ってくる。硬い道具は、陽斗の内側を強引に押しひらき、機械的に進んできた。 「……ん」  それはまるで、性行為というよりは、医療行為のような気分を与えてくる。  自分は今、この人に治療されているのだ。悪い部分を直してもらい、もっといい身体に作りかえてもらっている。  そう思うと身を任せる相手に対して無条件の服従を感じてしまい、陽斗は嗜虐に暗く興奮した。 「さあ、全部入った。次はこちらを向いて膝立ちになって」 「……はい」  尻の奥に違和感を覚えながら体勢を変え、高梨の前に膝をついて立つ。

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