79 / 158
第79話 *
「……んァ……っ」
きつい刺激に耐えられなくなって、高梨の肩を握りしめた。両手足がブルブルと小刻みに揺れる。
「じっとしててね」
高梨は治療する医師のような声音で陽斗を制した。
「わかって……るッ」
強がりな言葉を返したけれど、身体はすぐに快楽に屈する。ブジーが細い隘路をうねりながら進んでくるたび、神経を逆なでするような愉悦に、脳髄まで痺れた。
「……ぁ、……ぁ、……ぁは……」
電流が走るようなピリピリとした快感は、高梨に出会うまで知らなかったものだ。世の中に、こんな気持ちのいい行為があったなんて。
「ああ……も、も、ダメ。……これ、以上、入れないで……」
「まだ半分も入ってないよ」
男は無情にも手をとめず、ぬるつくブジーをさらに奥へと押しこんできた。途中で道をたしかめるためか、少し揺すったりするものだから、そのときは陽斗も意識が飛ぶほど感じさせられた。
「も、ヤ、……やだぁ……」
頭に血がのぼりっぱなしで失神しそうだ。俯いて苦しさに嗚咽する。
「……っ、ひっ、く、……ぅくっ……」
「ほら、全部入った」
高梨が顔をあげたとき、陽斗は、目や口や鼻から雫をもらして、ぐしゃぐしゃの表情になっていた。
「何て可愛い顔になってるんだ」
「うっ……。やッ……見ないでよ……」
「最高だよ」
ケースからハンドタオルを取り出して、陽斗の顔をきれいに拭う。
「でもまたすぐ泣いちゃうかな」
蕩けるような甘い声で、意地の悪いことを言う。そうして、目元や鼻の頭を赤くした陽斗に、慈しみで一杯の眼差しを向けながら、アナルプラグに手をのばした。
ともだちにシェアしよう!