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第79話 *

「……んァ……っ」  きつい刺激に耐えられなくなって、高梨の肩を握りしめた。両手足がブルブルと小刻みに揺れる。 「じっとしててね」  高梨は治療する医師のような声音で陽斗を制した。 「わかって……るッ」  強がりな言葉を返したけれど、身体はすぐに快楽に屈する。ブジーが細い隘路をうねりながら進んでくるたび、神経を逆なでするような愉悦に、脳髄まで痺れた。 「……ぁ、……ぁ、……ぁは……」  電流が走るようなピリピリとした快感は、高梨に出会うまで知らなかったものだ。世の中に、こんな気持ちのいい行為があったなんて。 「ああ……も、も、ダメ。……これ、以上、入れないで……」 「まだ半分も入ってないよ」  男は無情にも手をとめず、ぬるつくブジーをさらに奥へと押しこんできた。途中で道をたしかめるためか、少し揺すったりするものだから、そのときは陽斗も意識が飛ぶほど感じさせられた。 「も、ヤ、……やだぁ……」  頭に血がのぼりっぱなしで失神しそうだ。俯いて苦しさに嗚咽する。 「……っ、ひっ、く、……ぅくっ……」 「ほら、全部入った」  高梨が顔をあげたとき、陽斗は、目や口や鼻から雫をもらして、ぐしゃぐしゃの表情になっていた。 「何て可愛い顔になってるんだ」 「うっ……。やッ……見ないでよ……」 「最高だよ」  ケースからハンドタオルを取り出して、陽斗の顔をきれいに拭う。 「でもまたすぐ泣いちゃうかな」  蕩けるような甘い声で、意地の悪いことを言う。そうして、目元や鼻の頭を赤くした陽斗に、慈しみで一杯の眼差しを向けながら、アナルプラグに手をのばした。

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