83 / 158

第83話 *

「大丈夫?」  まだ硬い陽斗の茎を、そっとさすりながらきいてくる。 「……ん」  陽斗は無理に口元をあげた。 「俺のモノ、丈夫だから」  強がりな冗談で、暗くなりそうな気分を流す。 「ならまだできるかな」 「うん。できるし」  正気に戻ったら、軽口も言えるようになる。ちょっと挑発するような言葉までさらりと出る。快楽に我慢強いたちではなかったが、意地っ張りな性格ではあった。       「そうか。君は男らしいね」  高梨は微笑んで陽斗を褒めた。  「じゃあ、もう少し強く刺激してみよう」     そうしてその夜も、前日と同じく容赦なく責め立てられた。前からも後ろからも刺激を与えられて、陽斗はもだえ苦しみながら快感の嵐に振り回された。何度も達して、雫が透明になるまで吐精させられて、最後は泣きながらもう許してと訴えた。  意識が朦朧としたころにやっと解放されて、シーツに横たえられる。声も嗄れはてて喉が痛かった。 「……高梨さん」 「うん」  陽斗の濡れた身体を拭って、上がけをかけながら高梨が答える。 「俺、フェロ、モン、……出てた?」  高梨は陽斗の頬をそっと撫でた。 「いや」 「…………そか」  何でなんだろう。あんなにたくさん感じて、達ったのに。  疲れと悔しさで気持ちが沈む。  唇を噛みしめた陽斗に、高梨が口の端もゆるゆるとさする。  優しい仕草に、失望を抱えたまま、落ちるように眠りに入っていった。

ともだちにシェアしよう!