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第104話
「光斗君の相手が見つかったんだし、これからは、君も少しは僕に気持ちを割いてくれるようになるかな」
「えっ」
高梨が片頬を持ちあげる。
「君の一番はずっと光斗君のようだったから。彼が運命の番を得れば、もっと僕のほうにも関心が向くかなあと」
呆気にとられて見返せば、笑みの中にも真剣な眼差しがあって、冗談を言っているのではないことがわかった。
「双子の兄弟は、魂もつながるって聞いたことがある。君たちは端から見てても本当に仲がいいから、ふたりの間に僕が入れないことが、実はちょっとね、妬けてたんだ」
「そんな」
戸惑って目を瞬かせる陽斗に、高梨が腕を回してくる。後ろ髪をかるく摘まみながら、さりげなく言った。
「キスしていい?」
「え」
「褒美をくれないか」
「……」
「ダメ?」
「……いや、そんなこと……ない、けど……」
頬を赤くしてモゴモゴ答えると、高梨が顔をよせてくる。
唇が近づき、ふたりの間の空気が吐息で温まった。
「――ん……」
そっと、触れあうだけのキスをされる。離れて、そしてまた重なって。やわらかな唇を尖らせるようにして、高梨は何度も陽斗に触れてきた。
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