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第115話
高梨からの電話が切れてすぐ、鷺沼からも電話が入った。
『今、光斗さんと一緒にそちらに移動している最中です。すぐに着きますからご安心ください』
と丁寧な連絡が入った数分後、玄関ベルが鳴った。陽斗は急いで玄関に走っていき鍵をあけた。
「光斗」
青い顔をした光斗が、鷺沼に支えられながら入ってくる。
「陽斗ぉ……」
陽斗の姿を見て、安堵の表情を浮かべ抱きついてきた。
「大丈夫だったか」
「うん。大丈夫。何ともない」
背中をさすりながら、無事だったことに安心する。が、よく見れば首輪がない。
もしかして噛まれたのかとヒヤリとする。
「光斗、首輪、どうした?」
「あいつに壊された。でも大丈夫、噛まれてないから」
あいつとは犯人のことだろう。
「……そうか。なら、よかった」
明日には津久井に会うのに、別のアルファに噛まれたら大変だ。首輪は無理矢理壊されたのか、その部分の皮膚が少し赤くなっていて痛々しかった。
一緒にいた鷺沼に礼を言って、光斗をリビングへ連れていく。ソファに並んで腰かけ、鷺沼と光斗から事件の経緯を聞いた。
「犯人は、光斗さんのクラスメイトでした。いつも一緒にいた友人がストーカーだったんです」
対面に座った鷺沼が、まず口をひらく。
「友人が?」
「そうです」
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