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第132話

 陽斗の台詞の意味を理解して、口をゆるくあける。  何か答えようとして、――そのまま深く口づけられた。  それが答えだった。高梨は双子を抱きしめたまま、陽斗にキスをした。 「君が欲しい」  欲情に浮かされた顔で訴えられる。陽斗も発情がこないまま、アルファのフェロモンに耽溺した。 「俺もだよ」  あなたしか欲しくない。そう伝えたくて、自分からもキスをした。  そんな陽斗に、背中から光斗が言う。 「やだ……オレだって、陽斗が欲しい」  首をひねって後ろを見ると、熱を持った眼差しで兄を見つめる弟がいる。 「オレ、陽斗が好きだった。ずっと、生まれたときから大好きだった。陽斗はオレの初恋だったよ。……言ったよね、陽斗がアルファだったらどんなによかったかって」 「光斗」 「オレが発情してつらいときは、いつもそばにいて世話してくれたろ。オレのこと、一番よくわかってくれてるのも陽斗だった。運命の相手は見つかったけど、……オレはずっと、陽斗が、好き、だった」  陽斗は高梨に顔を向けた。 「高梨さん、弟は俺がどうにかしてなだめる。……だから、俺に、挿れて」  もう、発情なんかにこだわらない。身体をつなげてひとつにして欲しい。それが自分の望みだったし、大切な弟を守る方法でもあった。  発情中のオメガは確実に妊娠するし、うなじを噛んでしまったらもう元には戻れない。高梨が光斗を犯したら取り返しのつかないことになってしまう。

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