132 / 158
第132話
陽斗の台詞の意味を理解して、口をゆるくあける。
何か答えようとして、――そのまま深く口づけられた。
それが答えだった。高梨は双子を抱きしめたまま、陽斗にキスをした。
「君が欲しい」
欲情に浮かされた顔で訴えられる。陽斗も発情がこないまま、アルファのフェロモンに耽溺した。
「俺もだよ」
あなたしか欲しくない。そう伝えたくて、自分からもキスをした。
そんな陽斗に、背中から光斗が言う。
「やだ……オレだって、陽斗が欲しい」
首をひねって後ろを見ると、熱を持った眼差しで兄を見つめる弟がいる。
「オレ、陽斗が好きだった。ずっと、生まれたときから大好きだった。陽斗はオレの初恋だったよ。……言ったよね、陽斗がアルファだったらどんなによかったかって」
「光斗」
「オレが発情してつらいときは、いつもそばにいて世話してくれたろ。オレのこと、一番よくわかってくれてるのも陽斗だった。運命の相手は見つかったけど、……オレはずっと、陽斗が、好き、だった」
陽斗は高梨に顔を向けた。
「高梨さん、弟は俺がどうにかしてなだめる。……だから、俺に、挿れて」
もう、発情なんかにこだわらない。身体をつなげてひとつにして欲しい。それが自分の望みだったし、大切な弟を守る方法でもあった。
発情中のオメガは確実に妊娠するし、うなじを噛んでしまったらもう元には戻れない。高梨が光斗を犯したら取り返しのつかないことになってしまう。
ともだちにシェアしよう!