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第140話 *

 高梨が苦しげなうめき声をたてる。瞬間、彼のものがビクビクッと大きく痙攣した。放出の感触に、陽斗もまた呼ばれるように際を越える。 「――ああ、あァ――あ、ぁっ、はっ、ぁ――」  酸欠になったかのように大きく喘ぐと、男はすぐに陽斗の身体から出ていった。ぐぽっという音と共に、尻の狭間に穿孔のできたのが感じられる。そこからだらだらと雫がたれた。  高梨が陽斗のなめらかな尻を撫でながらきいてくる。 「首輪の鍵は?」 「家の金庫……」 「そうか。わかった、じゃあこのまま、動かずに待ってるんだ」  高梨は立ちあがると、乱れた背広のまま部屋を出ていった。一度達して少し冷静さが戻ってきたのだろう。どこへいくのかと問いかける余裕はこちらにはなかったから、ただ言われたとおりに動かずにいた。 「……陽斗」  まだ達していない光斗が切なげに呼ぶ。 「……ん。ごめ。俺ばっかり」 「して」 「いいよ」  陽斗は達した余韻の中で手首をゆったりと振り、弟の性器を扱いた。 「は……ん、ぁ、いい」  光斗はあっけなく陽斗の手の中で果てた。けれど、こんなもので足りるはずがない。 「もっとちょうだい。すっごく、イイから」  瞳を潤ませ、嬉しそうに微笑む弟は、発情期特有のオメガの顔をしている。発情のない陽斗はそれを(うらや)ましいと思いつつ、ただ楽にしてやりたい一心で、しなやかに伸びあがる性器を再びこすった。

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