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第142話 *

 痛みを忘れるほどの、強い快楽を与えられる。全身が痺れ、手足がガクガクとわなないた。  オメガ特有の神経系が、痛みを脳まで伝え、記憶に番を刷りこませる。  この男が、お前の、運命の相手なのだと。 「――あ…………」  瞬間、意識がどこか遠いところに飛ばされた。  視界がぼやけ、魂が肉体から浮遊するような奇怪な現象に見舞われる。  そして何かがブワッと膨張し、肌を突き破って爆発した。 「うっ――」  高梨が呻く。  陽斗は何が起こったのかわからず呆然とした。自分はいったいどうなってしまったのか。 「……陽斗? どした」  目をむき、動きをとめた陽斗を、光斗がいぶかしげに眺めてくる。 「これは」  陽斗の首から口を離した高梨が、大きく息を吸いこんで吐いた。 「すごい香りだ」  目を瞬かせ、胸を上下させる。 「え? じゃあ、陽斗、もしかして?」  「……あ」  陽斗は自分の身体が、今までにないほど熱を持ち、血流が激しく全身を駆け巡るのを感じた。胸の奥からこんこんと性の欲望がわいてくる。 「あ、は……ッ」  心臓がドクドクと波打ち、ペニスと後孔がむず(かゆ)くなる。  もっと、もっとこすって、(えぐ)って突き刺して、奥まで犯して。そんな切実な願いが無尽蔵に生まれてくる。

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