142 / 158
第142話 *
痛みを忘れるほどの、強い快楽を与えられる。全身が痺れ、手足がガクガクとわなないた。
オメガ特有の神経系が、痛みを脳まで伝え、記憶に番を刷りこませる。
この男が、お前の、運命の相手なのだと。
「――あ…………」
瞬間、意識がどこか遠いところに飛ばされた。
視界がぼやけ、魂が肉体から浮遊するような奇怪な現象に見舞われる。
そして何かがブワッと膨張し、肌を突き破って爆発した。
「うっ――」
高梨が呻く。
陽斗は何が起こったのかわからず呆然とした。自分はいったいどうなってしまったのか。
「……陽斗? どした」
目をむき、動きをとめた陽斗を、光斗がいぶかしげに眺めてくる。
「これは」
陽斗の首から口を離した高梨が、大きく息を吸いこんで吐いた。
「すごい香りだ」
目を瞬かせ、胸を上下させる。
「え? じゃあ、陽斗、もしかして?」
「……あ」
陽斗は自分の身体が、今までにないほど熱を持ち、血流が激しく全身を駆け巡るのを感じた。胸の奥からこんこんと性の欲望がわいてくる。
「あ、は……ッ」
心臓がドクドクと波打ち、ペニスと後孔がむず痒 くなる。
もっと、もっとこすって、抉 って突き刺して、奥まで犯して。そんな切実な願いが無尽蔵に生まれてくる。
ともだちにシェアしよう!