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第143話 *
「して、して、もっと、してよ、ふたりとも」
信じられない言葉が口をついて出る。けれどこれが純粋な望みだ。
「ああ、もっと、犯してよ。めちゃくちゃにして」
「陽斗、発情したんだ」
――これが発情なのか。
嵐のような情欲にのまれながら、陽斗は思った。
「高梨さん、してよ、して。もっと動いてッ」
「陽斗君」
振り返り、腰を揺すって高梨の雄を喰い締める。
「んゥッ……」
陽斗の振る舞いに、高梨が苦痛の呻きをあげた。眉根をよせ、けれど、どこか嬉しそうに口角をあげる。
「可愛いすぎる」
気持ちよさに忘我の表情となった陽斗を見て、男の目元も赤らんだ。上体を起こして陽斗の腰を掴みなおすと、奥深く突きこんでくる。
「あ……あ、あは、あ、あン……あ、ああッ」
ビクビクと身体がしなる。すると腕の下の光斗も煽られて身悶えた。高梨が逞しい腰を前後させればその震動が陽斗を通して光斗にも伝わるらしく、弟は大きく足を広げ、ウットリとした表情になって快感を貪った。
「ひ……ぁ……は、すご、陽斗っ」
「ぁあ、高梨さっ、い、いい、……こんな、は、おかしくなる」
脳が溶けていくようだ。精神も肉体もただ高梨の性器のためだけに存在しているような錯覚に陥る。そして陽斗は、毎夜彼にいじめられた体内のオメガ宮が、新たな証を求めて活性化していくのを感じた。
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