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第144話 *
高梨の種が欲しい。この人と、自分がこの世界にいるというたしかな証が。
「高梨さん、高梨さん……」
身体の奥がキュンキュンと疼く。泣きたいくらい好きという気持ちが、情欲に上乗せされて、陽斗は初めて誰かを死ぬほど好きになるという感情を実感した。
「陽斗君」
高梨が陽斗の心に応えるように名を呼ぶ。その低く官能的な声に刺激され、二度目の際がやってくる。
「――あ、あァ、あン、あ、たかな、し……さ、もう、俺……」
後孔が自然に濡れ、卑猥な音が絶え間なく響く。下半身がドロドロになった中で、陽斗は今までにない強い開放感で射精した。
「あ――あ、あアっ、――ああ、ああ、――ああ……っ」
声をとめることができない。
自分の弱さがむき出しになる怖さに震えると、光斗が下からそっと抱きしめてきた。
「陽斗、大丈夫だよ。こわくない」
それはいつも陽斗が弟に言っていた言葉だった。
「……ん」
陽斗が力を抜いて光斗に身を任せると、高梨も二度目の放埒に自身を大きく波打たせる。
「――ツ、はァ……ッ」
しばし雄の解放に没頭し、それから上半身を倒してきた。
「……陽斗君」
うなじにキスを落として、体重をかけないようにそっと抱きしめてくる。高級そうなスーツはクシャクシャで、でもそんなことはまったく構わないといった様子だった。
「僕のオメガ」
噛みついた場所に何度も口づけを繰り返す。
「愛してるよ。すごく可愛い。もう離さない」
合間に、甘い言葉をシャワーのように浴びせかけた。
「……ん」
そんなことをされると、またしたい気持ちがわいてくる。それは高梨も同じようで、陽斗の身体から出ていく気配がない。
もちろん光斗も同様で、陽斗の肌をまさぐる手をとめない。
そうして三人で、満足するまで欲望を解放させた。
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