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第3話
茫漠たる意識の中、目が醒めると潮の香が鼻腔を擽った。腕は後ろに固定され、足首も左右を繋ぐように鎖で固定され広いベットの中で横たえて寝ていた。
そして気づくと目の前に透き通るような金髪をした外人が、タキシードを着ながら微笑んでいる姿を察知した。
瞳は濃く暗い碧色をしており、酷く端正な綺麗な顔立ちをしており感情が読めなかった。
「やあ、ケン。やっと起きたね。」
その男は微笑みながら、痛みがまだ疼く鈴穴を軽く穿った。
「……ッ…やめ………ろ…。」
健は手錠はそのままで、内腿を抑えながら一糸纏わぬ躰を起こし男から尻の力で逃げた。
艶かしい乳白色の肌を覆っていた柔らかな絹の毛布が躰から滑り落ちて、健の気持ちとは裏腹に男の瞳には愛欲に満ちていた。
「ふふふ、可愛いね。これから沢山教えて込んでいきたいな。」
男は180センチある健よりも遥かに身長が高く、鍛えた駆体はより雄として正装を際立たせた。
そして、タイを緩めジャケットを脱ぎ捨てながらじりじりと距離を詰めて健へ近づいた。
「く、来るなよ……。」
「駄目だな。まだ警戒してる。さっきはあんなに従順だったのに………。やっぱりカイがいないと大人しく出来ないかな。」
長い指先で柔らかな金髪を後ろに撫で、男はさらに蛇のように近づいてきた。全裸の健は後退しながら、クィーンサイズのベットを見回す。
どこだ?
ここは何処なんだ?
「………こ、来ないでくれ。」
わなわなと震えながら、尻が冷たい壁へ当たりついに逃げ場を失った。金髪の男は健の顎を掴んで、顔を上げさせ深く口づけた。
「……んッ……」
長い舌が、健の舌を撫でながら唾液を吸い込む。そして歯茎を舐めながら口腔を犯すように深く侵入すると、糸を垂らしながら唇を垂らした。
「僕はルイだよ。君のもう一人のご主人様。………せっかく起こさないで躰も拭いてあけたのに、逆らうなんて。………少しはお仕置きが必要だね。」
深い碧色の瞳を細めながら、ルイは薄く笑った。
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