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第23話
ゴソゴソと動く物音に気づき目を開ければどことなく恥ずかしそうな心が俺の腕の中にいた。
「おはよ」
「ん」
少し掠れた心の声に背中がゾクリと粟立つ。
そんな俺に気付いたのか慌てたように離れようとする心にクスリと笑い触れるだけのキスを与えた。
「心、大丈夫か?」
「ん」
「ならご飯作って?」
どことなくご機嫌そうな心を促し朝ご飯の準備をさせる。
流石に朝から無理をさせるわけにもいかず心をキッチンに送り込んだ。
美味しそうな匂いが鼻を擽る。
いいなー嫁に来てくれないかな?なんてバカな事を考えながらリビングのソファに座る。
料理を作る心の隣にはよくみれば裕翔が手伝いをしていたのだろうピョコピョコ動き回っていた
これはこれで面白いな。
いつもとはありえない情景に心が和む。
誰かがいる朝も悪くはないのかもしれない。
いつもは一人だ。勇気は朝は滅法弱い為登校する少し前に起こしに行く位だから部屋にはこないし
楽しい笑い声がキッチンから響いてくる。
この年でもう嫁と子供を作った気分になる
「心、コーヒーをくれるか?」
「ほら」
インスタントのコーヒーでも気分がちがえば美味しく感じられる。
たまにはやはりいいのかもしれない。
いつもは事がすめば部屋に帰していた心も今度からは朝食までセットでいてもらおうか。
「軽くつまめる勇気の分の朝食もよろしくな」
嫌そうな顔をする二人にクスリと笑いながらシャワーを浴びにバスルームに向かった。
二人して勇気を嫌わなくてもいいじゃないか。
あの子も大分性格は歪んでるけど俺の大切な奴なんだからさ。それもわかってるからか心は文句を言いながらも勇気に手を出す事はなかった。
もし、勇気を傷付けることがあれば俺は勿論心をキる。だからね、どうせ俺の側にいるつもりなら勇気と仲良くして欲しいんだけど人の気持ちまではどうしようもないからな。
シャワーを浴びさっぱりしたあと美味しい朝食をいただき勇気の部屋によってから教室にむかった
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