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第53話
ーーーSide碧
誰だ。俺は一人部屋だ。何故人がいる
まるで自分の部屋とでも言いたげにソファに寛ぐ一人の男。
「誰だ?どうやって入った」
風紀委員長の部屋に勝手に入るとは自殺願望者か。
「おかえりー待ってたよ委員長」
一人の美しい男。あの顔だけのバ会長よりも良い男だろう。
「あれ?俺の事分かんない?さっきまで一緒だったのに」
からかわれるように言われた言葉で気付く
「お前、新郷か」
確かに少し見えた横顔は綺麗だったがその後は伸び切った前髪のせいで顔全体を見ることは叶わなかった。
「久しぶりに名字で呼ばれたよ。響でいいよ」
こんなキャラだったのだろうか?クスクス笑う顔が綺麗だ。
「ねぇ?名前教えて」
「夏川碧」
捕らわれる。その目に。どうやってここに入ったのか。どうして俺に会いに来たのか聞きたいのに
「そー碧。おいで」
どうにかしてる。たった一瞬見えた横顔に捕らえられた俺の心は名前を呼ばれ、近づく事が許された。それだけで俺の疑問なんて全てなくなった。
その後見事に美味しく食べられてしまった。
まさか俺が下になるなんて考えてなかったけど。
「お前、新垣とつきあってたんじゃねぇのか」
「響だよ」
「響」
「良くできました。」
あーなんで?俺をバカにしてるのか?でもちっとも嫌な気分にはならない
「勇気とは付き合ってない。キスはするけどねーそれ以上はしたことないよ」
そうなのか。じゃあ俺とのこのやり取りはこいつにとってどういう意味をもつんだ
まさか俺をセフレという立ち位置にするつもりか
俺の考えが分かったのか響は
「碧にもセフレいるでしょ?それと一緒」
体だけでもとよってくる奴等の気持ちが今初めて分かった。鬱陶しい奴等と思っていたあいつらと一緒。響は決して心を渡さないのだろう。それでも近くにいたいと思ってしまった。
「それとも碧はもう俺とヤるのはいや?」
嫌じゃない。俺が下でもいいから側にいさせてほしい。
不毛な恋。捕らわれて仕方ない心はどうすればいいのか分からないが少しでも近くにいたいと願ってしまった。
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