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第84話
ーーーSide隆聖
だめなんだろう。この二人は。
今まで傍観していたが勇気がもう限界なんじゃないか。
響じゃない、勇気が
自分の間違いに勇気は薄々気付いてんだろ?
だから今回こうなってんじゃねぇの?
周りは勇気が響を縛ってるというが本当に縛ってるのは響の方だ。
「だめだよ、リュウ兄ちゃん、勇気は渡さないよ」
ほら、一切の感情をその顔から失くし勇気を抱き締める響。
こんな響を皆は見たことがないのだろう。
皆の顔は驚愕にそまっている。
普段冷静な壱でさえこれだ。
「例えリュウ兄ちゃんでも勝手な事はさせないよ」
「響、勇気を縛るのはもうやめなさい」
「俺が縛る?バカなこと言わないでよね。勇気が望んで俺が望んでずっと側にいるんだから」
「お前はそれでよくても勇気は?勇気はもう響を必要としてないよ」
ガツンと脳が揺れる。
痛いな。兄弟喧嘩なんていつぶりだろうか。
ましてや、響が俺に手をあげるなんて
「響?」
「なんでもないよ、勇気は心配しないで大丈夫」
そうじゃないだろう。
「勇気!いつまで目をそらすつもりだ?このまま響に縛られて生きるつもりか?」
「変な事勇気に言わないでくれる?」
お前じゃねぇんだよ。勇気が向き合わねぇといけないんだよ
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