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第89話
ーーーSide勇気
でもさ、その俺のせいでさ
パンパーンと嫌な音が響いたと同時に背中に焼ける様な痛みが走った。
あー、結局無駄だった。
「勇気!」
響の声が聞こえる。
逃げて、声にならなかった。
暗くなってく視界に響は大丈夫だろうか?と考える。
死ぬのかな?
そう思ったけど、意外と人間簡単には死なないらしい目が覚めたときには病室にいた。
腰が痛いが他に痛いところはない
ベッドの周りには父親と母親それに凛が泣きながら俺を見ていた
「響は?」
「響君は無事だ」
「響にあいたい」
「今はそっとしておいてあげなさい」
なんで?どうして?
父親が教えてくれたのは俺にとって最悪な事実。
俺がいなくなったことに気付いた組の奴が響の家に電話し響が俺を探しに出て俺が攫われそうになってるところを見つけた。
その響の後を追ってきたのは響の母親で銃声が聞こえた瞬間響の母親は響を守って代わりに撃たれた。
俺と違って致命傷だったらしい響の母親は亡くなった。
俺のせいだ。俺が響に会いにいかなければ
俺が誰かに言っていけば
俺があのまま攫われていたら
勇気くんと優しく俺を呼ぶ優しい響の母親の声が好きだった。
俺が響の大事な人を奪ってしまった。
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