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第24話 夜の病院④

 沢井としてみれば、黒崎に鈴本を近づけたくなかった。  大人げない嫉妬と言われようが、どうしてもあの鈴本と言う男を信用することはできない。  心療内科や精神科の医師なら他にもたくさんいるんだ。鈴本以外の医師に相談してみよう。  沢井がそんなことを考えていると、田渕に忠告を受けた。 「沢井、後輩の面倒を見るのもいいけど、三月との仲はどうなってるんだ? 意地を張っていないで、いい加減寄りを戻したらどうだ?」  これには沢井は苦笑するしかなかった。  田渕は三月のことがお気に入りで、沢井の顔を見る度に寄りを戻すように言ってくるのだ。  いったん離婚した夫婦が簡単に寄りを戻せるくらいなら、そもそも最初から離婚などしていないだろうに。  ……田渕先生はこういうところ、ちょっとずれてるからなぁ……。 「オレと彼女がやり直すことは二度とありませんから」  沢井は、きっぱりと言い切った。  ……オレのすべては雅文に捧げているのだから。 「けっこう疲れるね、MRIって」  服を着替えて、検査室から出てきた黒崎は、廊下の長椅子に座って待っていた沢井に微笑みかけた。 「なに? おまえMRI受けるの初めてだっけ?」 「うん。患者さんが受けるのは、数えきれないくらい見てるけど、自分が受けるのは初めて。ね、和浩さん、オレの脳ってどんなだった?」  黒崎の質問に沢井は笑ってしまう。 「どんなって……、どういう答が欲しいんだ? 星の形してたとかか? ……まあとりあえず脳には異常はなかったから、一安心だな。あとは明日……もう今日か、朝一で採血して貧血の検査を――、おい雅文、どこ行くんだ?」  黒崎は、帰ろうとする沢井とは逆の、病棟があるほうに歩いていく。

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