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第66話 純白の天使
源氏ケ丘大学附属病院の更衣室、
「これ、遅くなったけど、オレからの結婚祝い」
親友の川上が、何やらニヤニヤと笑いながら、紙袋を差し出してきた。
「え? サンキュ。なにこれ?」
沢井が紙袋を受け取り、中を覗き込むと、綺麗にラッピングされた箱が入っている。
「あ、帰ってから黒崎といっしょに開けてくれよ」
川上はそう言うと、さっさと更衣室を出て行ってしまった。
💛
「ただいま」
「あ、おかえりなさい、和浩さん。お疲れ様」
二人の愛の巣のマンション、沢井と黒崎はいつものようにチュッと口づけを交わした。
それから沢井は紙袋を黒崎へ差し出す。
「これ、川上から。オレたちの、その、結婚祝いだって……」
結婚という言葉を使うたび、沢井の心は甘くときめく。
目の前の天使のような彼と自分が結婚しているという幸せに酔ってしまうのだ。
「え? ほんどに? ……うれしいな。開けてもいいかな? 和浩さん」
黒崎は沢井にだけ見せてくれる笑顔とともに聞いてくる。
頬をピンクに染め、とっても愛らしい。
「ああ」
沢井が微笑み返して応じると、黒崎は紙袋から綺麗にラッピングされた箱を出し、丁寧に解いていく。
そして箱をそろそろと開けた。
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