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【第2話】アマゾンがくるまで(2)

「どうするって何? 有夏は何もしなくていいよ」  俺がするんだからと、白い首筋をはしたない音をたてて吸った瞬間。  有夏の手が幾ヶ瀬の背を叩く。  イヤという意思表示でもなく、宥めるふうでもなく、ましてや続きを催促する甘やかな叩き方でもない。 「アマゾン」 「え?」 「アマゾン、くる」  思考停止したように固まった幾ヶ瀬の肩をリズミカルに叩きながら、有夏は玄関にちらりと視線を送った。 「19時から21時指定なんだよ。今何時?」 「あ、えっと……19時、5分かな。えっと、有夏?」  幾ヶ瀬が尚も未練がましく有夏のうなじに顔を埋める。 「どうしてもすんの? んじゃ5分、いや3分で終わらせろよ? 配達、もういつ来てもおかしくないんだから」  これには少なからずムッとしたように幾ヶ瀬が顔をあげる。 「無理だよ、3分なんて」 「そぉ?」  平然とした表情で小首を傾げる有夏。 「わりと入れた瞬間イッたりしてんじゃない。3分ありゃ余裕じゃね?」 「有夏、可愛いおクチで何てこと言うの! そ、それに俺は終わった後も有夏と抱き合ったりキスしたりしたい」  ヨ・イ・ンと叫ぶが、有夏は小馬鹿にしたように「アハハッ」と笑う。 「幾ヶ瀬、前戯に異様に時間かける時あるもんな。しつこい、てかエロジジィかって」  自分だってあんあん言って感じるくせに、と目の前で指先をくにゃりと動かしてみせるが、今の有夏に効果はなさそうだ。  ハッと笑って受け流されるだけ。  それより玄関の方へと注意が向いてしまっている。 「じゃあいいよ。自分家に戻ったら」 「ああ、それは大丈夫。隣りにいますってドアにメモ貼ってきたし」 「あぁ、そうなの……そうなんだ……」

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