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【第2話】アマゾンがくるまで(4)

 幾ヶ瀬の長いため息。  どうりで最近うちに入り浸ってると思ったよと小さく呟く。 「この前、片付けてあげたよね。有夏の部屋、玄関までゴミが溢れてたから」 「……だ、だからゴミじゃなくて」 「1ヵ月も経ってないんじゃない? 3週間……月初めの休みの日にやったから、そう22日前だ」 「幾ヶ瀬、こまかい……」 「あの時も部屋中に物が散乱して積みあがってたよね。ごはんはうちで食べるから生ごみがないのが本当に幸いなんだけど。その代わりにアマゾンの箱が部屋もお風呂もトイレにまで積みあがってて……。何でダンボールをたたまないの! 有夏ん家はダンボール屋さんなの!?」  めんどくさい……と小さな声。 「あの時の箱、何個あったと思う!?」 「………………」 「268個だよ! 全部潰して紐でくくって、でも資源ごみ置き場が満杯になるから3回に分けて出したんだよ!」 「………………」 「あのあと、通販の箱から緩衝材のおばけが飛び出してきて襲われる夢を何回見たことか!」 「面白いじゃねぇの」 「有夏ぁ!! なのにまたアマゾン注文したって! 何買ったの!」 「……フィギィア」 「え?」 「……ミカサのフィギィア」 「みか……えっ?」 「新作で、マントと立体起動装置が取り外せて……」 「え、何? ミカ……?」 「進撃の……フィギュア……」 「え、進撃って進撃の巨人? 有夏が好きなマンガ?」 「あれはすごいよね!! 有夏、初めてフィギュアに手ぇ出したよ。新刊がもぅ! ストーリーが辛すぎて! でもミカサが一番好き」  ややオタク気質な有夏、何だか興奮しだした様子。 「お、俺とどっちが……」 「は?」 「いや、そうじゃなくて……」

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